非同期コミュニケーション(ビジネスチャットなど)

非同期コミュニケーション(ビジネスチャットなど) #

概要 #

非同期コミュニケーションとは、MS Teams, Slack, Chatwork, LINE WORKSのようなビジネスチャットツールを活用して、お互いが異なる時間でコミュニケーションを成立させるものである。ここではチャットを実施する際の注意点や推奨方法についてまとめる。

チャットツールの活用 #

社内宛はできる限りチャットツールを利用(メールではなく) #

メールはチャットツールに比べて非常にオーバーヘッドが大きい。たとえば、毎回「お疲れ様です」「お世話になっております」といった決まり文句やシグネチャが追加される(これらに本質的な意味はないにもかかわらず)。一方でチャットは必要な用件のみのコミュニケーションが中心となるため、オーバーヘッドが小さい。

また、メールは履歴を追うのが非常に難しい。特に、何らかのプロジェクトに途中から異動などでメンバが増えた場合、そのメンバが過去のメールを読むのは非常に労力がかかるか、不可能である。メールはローカルでオンラインであれ、個々人のメールボックスに保存されるためだ。一方で、多くのチャットツールではコミュニケーションの履歴が「チャンネル」の形でクラウド側に保存されており、途中から参加したメンバもチャンネルに参加することで過去の会話にアクセスできる。

さらに、チャットツールは誤送信リスクを軽減できる。メールは宛先アドレスにTypoがあって送信してしまった場合、社外に送付されてしまう可能性がある上、取り返しがつかない。一方でチャットツールは、あらかじめ参加しているメンバにのみコミュニケーションが制限されるほか、送信後にもメッセージを削除・編集できる。このため誤って社外に情報を伝えてしまう可能性が非常に低い(社外ユーザがゲスト参加している場合もあるので、その点は注意すること)。

情報管理ルール #

ストック情報とフロー情報の管理ルールを明確に #

チャットツールは、その特質上情報が流れる速度が非常に速い(フロー情報)。そのため、重要なコメント(たとえば何らかの方針決定)であっても、数日後にはかなり前のログになることもある。

もちろん検索はできるが、より効率的に情報へアクセスできるよう、重要な情報はストック情報として次のようなストック向けの場所に整理しておく。

  • Wiki (Qiita Team, Confluenceなど)
  • ノートアプリ(Evernote, Notion, OneNoteなど)
  • 社内向けWebサイト(SharePoint Onlineなど)

ストック情報を載せていても、定期的にメンテナンスしていない場合は、古い情報や時には誤った情報が残り続けることもある。たとえば、古い情報を削除せずに新しい情報を追加しているような場合、検索した際に古い情報と新しい情報が結果として表示され、検索者は古い情報にアクセスしてしまうようなケースが考えられる。そこで、チームメンバで持ち回りでドキュメントを更新するなど、何らかの方法でメンテナンスが続くようにする。最終更新日と照らして、自動的に「この情報は最終更新日が○年前です」のように表示される仕掛けを入れ込むのもよい。

チャット利用時の推奨方法 #

個別チャットよりもチャンネル利用を #

個別チャット(ダイレクトメッセージ、DM)はコミュニケーションの範囲が限定的になる。たとえばちょっとした質問があっても、個別チャットではチームや部門全体に情報を展開しにくく、知見やノウハウが効果的に蓄積・活用されない。一般に「質問される人」と「質問する人」は少数対多数になりがちで、個別チャットベースでは質問される人は同種の質問を異なる人から何度も受けることになる。MS Teamsであればチーム内のチャンネル、Slackであればパブリックチャンネルを利用することで、可能な限りオープンにコミュニケーションする。透明性を極限まで高めることで、無駄な問い合わせなどを減らし、組織としてのアジリティを高める。

チャンネルでオープンに会話することで、誰が何を知っているのか(トランザクティブメモリー)が明らかになる。そのチャットを見た他のメンバが、類似の疑問をもった場合に、問い合わせ先を探す手間を省ける。また、かつて質問して回答を受けた人が、新たな質問者に対する回答者になることもある。

リアクションは多めに #

オンライン会議が少ない場合、リモートワークは孤独な作業時間が増える。その場合、チャットで何かしらの発信をしたとしても、返信やリアクションがない場合は不安を覚えることがある。そのため、MS Teamsであればリアクション機能、Slackであれば絵文字リアクション機能などを活用して、意識的に多めに反応する。MS Teamsであれば、称賛機能などで感謝などを伝えるのも効果的だ。

最近のインプットメソッド(日本語入力エンジン)はかな入力した文字を絵文字(おねがい→🙏・🙇など)に変換できるので、適当なReactionがないと思うとき(特にMS Teams)は絵文字を返信メッセージとして送信するのもよい。

会話の往復が増えたら、オンライン会議への移行を(クイックコール) #

ちょっとした内容の意識あわせにおいて、チャットで質疑回答の往復が増える場合、想定以上に時間がかかることがある。そのような場合はクイックコールを活用する。クイックコールとはちょっとした電話をかけることであるが、チャットであらかじめ電話・Web会議することを合意して始める点が特徴的である。

チャット上でほぼ同時にやりとりできているとき、移動中などを除けばたいてい電話できる環境にある。さっとクイックコールして、短時間での同期的なコミュニケーションを活用する。終了後は、チームへの共有もかねて合意事項・ネクストアクションをチャットに残しておく。

チャット利用時のTips #

「お疲れさまです」といった挨拶だけのメッセージを送付しない。メッセージを受けとった側は用件がいつ来るかわからないため、作業を中断して待ってしまう場合がある。挨拶を単体で送るのではなく、必ず用件をセットにして送る。

参考: Please Don’t Just Say Hello In Chat(英語)

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