配属初日〜1週間で実施

配属初日〜1週間 #

[重要] 組織・チームのミッションを説明する #

状況 #

新メンバーが組織やチームのミッションを理解できていない場合、自律的な行動が困難になります。たとえば、新メンバーがアウトプットを出したとしても、ミッションからずれていて手戻りが発生するなど、パフォーマンスが出ないことがあります。

また、目的を表面上は理解したとしても、その必要性を腹落ちしていなければ、モチベーションが上がらないことがあります。

解決策 #

チームリーダーから組織やチームのミッションを丁寧に説明します。達成すべき組織目標は何なのか、その中でチームはどのような役割を担っているのか、そして新メンバーが担当する業務はなぜ必要なのか、新メンバーと対話して、新メンバーが腹落ちして意義を理解できるようにします。新メンバーが自身のミッションを理解することで、より積極的に業務に取り組めるようになります。

このとき、組織によっては、組織ミッションを企画/育成担当から説明する場合もあります。可能であれば組織長からミッションを直接説明するのが最も効果的です。なぜならば、非常に多忙である組織長が、あえて時間を割いて登場することにより、いかにメンバーを組織として歓迎しているかを伝えられるためです。

社内での実践例 #

Human Resource(以下、HR)部では、ウェルカムミーティングという名称で、配属初日に30分程度、HR組織長からミッション・文化・価値観について、説明をうける場を設定しています。

備考 #

チームで、Mission/Vision/ValueやOKRを設定している場合、合わせて説明するのが効果的です。

[重要] 中期(1-3ヶ月後)のありたい姿・成果を合意し、チームへ共有する #

状況 #

新メンバーが、自身の明確なゴール(達成すべき成果)を理解できていない場合、業務を自律的に進めるのが困難になります。また、仮にアサインされた業務内容が、自身のやりたいことと全くあっていない場合、エンゲージメントが大きく低下する可能性があります。

また、新メンバーに限らず、新メンバーの明確なゴールがチームで共有されていない場合、チームメンバーがどのように新メンバーを支援したらよいかわからないことがあります。

解決策 #

新メンバーがチームへ配属された後に、本人のやりたいことを加味した上で、新メンバーの中期的(1-3ヶ月後)の業務・成果、到達すべきスキル目標などについて、1on1などを通じて合意しましょう。

また、合意内容はチームへ展開しましょう。これにより、同僚は言語化された情報を見ることで、同僚自身がどのように新メンバーを支援すればよいか、自律的に判断可能になります。リモートワーク中心の働き方では、「察する」ことは非常に困難であり、できるだけ「見える/見せる」ことが重要になります。

ただし、展開する項目は本人と同意しておきましょう。言い換えれば、全ての内容をチームへ展開する必要はありません。なぜならば、「(あまりみんなには伝えたくないが)ここは苦手で克服したい」といったように、ややセンシティブな個人目標が設定される可能性もあるためです。

ゴール・期待値を共有するための決まったテンプレートはありません。次の図は、すり合わせ項目の1つの例です。

全社の役割、チームの存在意義、新メンバーに対する期待、個人のゴールと評価指標の4カラム図

トレーナー・メンターから定期的に困ったことはないか聞く #

状況 #

新メンバーにちょっとした困りごとがあった際に、たいした質問ではないからと忙しそうな他のメンバーに遠慮して、すぐに質問できない場合もあります。こうしたちょっとした相談が蓄積してパフォーマンス低下につながるケースがあります。

2020年入社のNTT Comグループの新メンバーに入社4ヶ月後に実施したアンケート(N=222)では、「職場で困ったときに相談できる方はいますか?」という問いに対して、「いるが中々相談できない」という回答が22.1%(4~5人に1人)でした。トレーナー・メンターが存在していたとしても、それだけで質問がいつでもできる環境である、ということではありません。

解決策 #

質問すること自体の心理的ハードルも下げるのも効果的ですが、トレーナー・メンター側から「今困っていることはないですか?」「助けられることはないですか?」と定期的に聞いてみましょう。「そういえば、…」といったように、新しい問いが出てくるかもしれません。

備考 #

高い頻度でポーリングして、困りごとの有無を確認するだけでなく、1on1形式で20-30分程度の時間を予めとっておいて、じっくりと対話する場も効果的です。比較的、時間のかかるテーマであっても、そこで解決できます。

チームメンバー全員で自己紹介の時間を取る #

状況 #

相手の属性やパーソナリティをほとんど知らない場合、質問や相談の心理的ハードルが高くなります。また、リモートワーク下では、チーム内での雑談をする機会が減っています。新メンバーが、オフィス中心の働き方でよくあった雑談に混ざることも難しくなっているため、お互いを知るきっかけが大きく減少しています。これらの状況は、新メンバーに困りごとがあっても相談できずに長時間抱えてしまうことにつながります。

解決策 #

新メンバーがチームへ配属された後にできるだけ早いタイミングでチームメンバー同士で自己紹介する時間を取りましょう。お互いに業務内容や趣味、出身地などを話し、自己開示することで心理的ハードルを下げることができます。価値観や目標などを話せると、なおよいです。

また、これらの情報をチームメンバーの誰もがいつでも見られるようにドキュメント化されていることが望ましいです。定期的に見直しアップデートしましょう。

備考 #

オンラインでの自己紹介の際は特に、カメラオンで実施しましょう。新メンバーは、顔と声が一致していません。仮に顔と声が一致していない状態で、既存メンバーが「私は○○と思います」と発言しても、誰が言ったか伝わっておらず、情報量が激減します。(自己紹介に限らず、映像情報は効果的なことが多いため、特に理由がなければカメラオンが好ましいです。詳細は、リモートワークハンドブックを参照ください)

歓迎会を開催する #

状況 #

新メンバーがチームに配属されて、何の歓迎イベントもないまま業務が淡々と進んでいくことがあります。この場合、人によっては「自分は歓迎されていないのか?」と不安に感じることがあり、結果的にモチベーションの低下につながります。また、メンバー同士の関係やパーソナリティな部分を知るきっかけが減ることで相談や指摘がしづらくなります。

解決策 #

歓迎会やウェルカムランチを開催しましょう。

もし、オンボーディング時期の1ヶ月がチームとして繁忙期で、どうしてもイベントを実施できない等あれば、実施可能な時期に予め日程を確保して伝えるなど、意思があることを伝えましょう。また、育児都合でランチ時間帯がよいケースもあります。新メンバーに応じて柔軟に対応を変えるのが好ましいです。

備考 #

人によっては、歓迎会やアルコールが苦手な方もいます。チームとして歓迎している姿勢を伝えるためには何がよいのか、チームの雰囲気やパーソナリティを知ってもらうにはどうすればよいのかを新メンバーに相談し、一緒に考えましょう。

チーム全員との1on1を実施 #

状況 #

新メンバーがチームへ配属された直後に一斉に自己紹介を実施する場合、1人あたりの自己紹介の時間は短くなりがちで、共通点探しや価値観の共有のような深い話は困難です。また、新メンバーは一度に多くのメンバーから説明をされても、情報量が多すぎて顔と名前を一致させることすら難しいでしょう。新メンバーはチームの一員として馴染めず、長期間疎外感を感じることになります。

解決策 #

新メンバーとチームメンバー全員で相互理解を深めるための1on11を実施しましょう。相手の経歴やどんなことが好きかなど様々なテーマで相互にインタビューを行い、理解を深めていきます。

具体的にはたとえば、次のとおりです。

  • 簡単な自己紹介(出身地、経歴、趣味など)
  • 最近取り組んでいる最もハマっていること
  • 楽しい職場文化とはどのようなもの
  • NTT Comに入って成し遂げたいこと
  • これまでの人生経験で、一番楽しいと思ったこと
  • 家族や友人にNTT Comをどのように説明?
  • 最近の自分自身の学びや成長の機会
  • 大事にしている価値観2

また、そこで話した内容をmiro等を使ってチームで共有し、1on1が実施されるほどメンバーの情報が追記、蓄積されるようにするアプローチもあります。全ての1on1が終わった後には、既存メンバー同士でも知らなかったことが見つかるはずです。さらに別の新メンバーが配属された際には、その情報を見ることで新メンバーはメンバー全員のことをより早く理解できます。

備考 #

NTT Com イノベーションセンターのデザイン部門であるKOELでは、 mixin(ミキシン) という名称で、全員との1on1を用意しています。

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定常的に繰り返し実施

  1. 新メンバーがかなり人見知りである場合、初対面のメンバーとの1on1の精神的負荷が高い場合もあります。このような場合は、トレーナー・メンバーも入るような3人以上の対話から始める方法もあります。 ↩︎

  2. 価値観を開示するワークショップとして、たとえばManagement 3.0のムービング・モチベーターズドラッカー風エクササイズ があります。 ↩︎