配属前に実施

配属前 #

[重要] 支援内容をチームで合意する #

状況 #

従来のオフィス主流の環境で社員を受け入れしていた時と異なり、リモートワークが増加している場合、新メンバーへの支援がより少なくなる可能性があります。チームメンバーからの支援がない状態では、新メンバーが成果をあげるのは難しくなります。

また、チームメンバーが支援に積極的な姿勢を出していない場合、チーム全体の心理的安全性1が下がり、新メンバーが周囲を積極的に頼るのが難しくなります。

解決策 #

事前に新メンバーを受け入れるチームで、受け入れ側も努力して新メンバーを支援することを合意しましょう。支援すべき内容は、たとえば次のとおりです。

  • 業務上でのタスク遂行
    • 例:営業(訪問先の事前調査をペアで実施)
    • 例:開発(開発環境の構築をペアで実施)
  • 必要物品の調達方法
  • 勤務票投入をレクチャ

また、3ヶ月や半年後のチームとしてのゴール設定を推奨します。ゴールの設定例は次のとおりです。

  • 新メンバーが加わった状態の組織がどのような状態になっているか
  • 新メンバーがどんな状態になっているか
  • 特定のアサインした業務が完遂した状態

ゴール達成に向けて、チームで取り組みます。新メンバーが主役となってゴールに向かって進むイメージです。

備考 #

受け入れ側はいかに早く新メンバーに花を持たせられるかを意識しましょう。NTT Comグループの新メンバーにインタビューを実施したところ、新メンバーがチームの一員になれたと感じたのは「自分が第一人者として成果をだせた時」だということがわかりました。新メンバーが価値を発揮し、チームに貢献できている、頼られていると早く感じてもらえるように、受け入れ側のメンバーは新メンバーを支援をしましょう。

トレーナー、メンターのアサイン #

状況 #

配属された新メンバーが、業務を進めていると必ず何らかの困りごとが発生します。たとえば、ある資料を見ないといけないが、どこにあるかわからない、といったケースです。もちろん、社員によっては、相談相手を簡単に見つけて課題を解決するケースもあります。しかし、そのような外交的な社員ばかりではありません。そもそも誰に話していいかわからない・相談するのに心構えがいる、といったケースでは考えているうちに、長時間が経ってしまうことがあります。

解決策 #

そこで、事前に「困ったらこの人に聞く」という社員をチームでアサインしておきます。いわば、ネットワークルーティングにおけるデフォルトゲートウェイの役割となります。

仮に回答に時間がかかる場合は、その旨(たとえば、予定が詰まっているので3時間後に回答しますなど)を伝えるのが効果的です。もしくは、別の知っているメンバーへリダイレクトするなどの対応が必要な旨をチームで合意しておきましょう。なぜならば、問い合わせ都度、回答に時間がかかっていると「(時間がかかるので)聞かないでもいいか」と判断されたり、もしくは業務がスムースに進まないことにより、新メンバーのモチベーションが低下するためです。

備考 #

新メンバーの成長支援は、上長やトレーナー、メンターだけではなくチームで実施するものです。本トピックは、相談先を決めておくことによる課題解決円滑化を狙っています。

チームのコミュニケーションルールを規定する #

状況 #

リモートで働く場合、TeamsやSlackといったチャットを多用することになります。この場合、相手に明示的に情報を伝えたい場合や、相手から回答を得たい場合はメンションの活用が効果的です。ただし、メンションは相手の集中を妨げる可能性もあり、新メンバーによってはいつ使ってよいのかわからないことがあります。

また実際に、NTT Comグループの新メンバーへのインタビューから、新メンバーが質問を送っても、他メンバーからの回答が翌日になっていたというケースもありました。

解決策 #

チームでのリモートワークにおけるコミュニケーションルールを規定しておきましょう。たとえば、些細なことでも困ったらメンションしてもいい、または、時間によってはチームとして集中タイムを設けるのでメンションを使わない、といった具合です。

コミュニケーションルールはチームによって異なります。メンバーによっては、育児都合などから分断勤務を多用しており、都合のよい・悪い時間もあるかもしれません。

コミュニケーションルールは、決定したものを絶対的なものとして永続的に運用するのではなく、必要に応じて見直しましょう。たとえば、チームビルディングの時間を1時間程度とって、「どうやったら、もっとチームとして効果的に働けるか?」などのふりかえりの場を用意し、リモートワークについて話し合うのも効果的です。

配属前のコミュニケーション:ウェルカムメッセージを送る #

状況 #

「配属されてから、しっかりサポートすれば大丈夫じゃない?」

そう思う方も多いのではないでしょうか?しかしここで一度、”受け入れられる側”の気持ちを思い出してみて下さい。新しい職場に着任する時は、誰しもが期待と不安を抱えているものです。不安の種類は人それぞれですが、主に以下のようなものがあげられます:

  • 人間関係に対する不安
    • 「自分が配属される部署の人達はどんな人だろう…」
    • 「また新しく人間関係を構築しなければいけないのか…」
    • 「自分は歓迎されるだろうか…」
  • 業務内容に対する不安
    • 「どのようなスキルが求められるだろう。ちゃんとやっていけるかな…」
    • 「1日をどのようなスケジュールで過ごすのだろう…」
    • 「残業は多いのかな。休みはちゃんと取得できるのかな…」

配属後、徐々に解消されるものもあるでしょう。しかし受け入れる側としては、新メンバーに初日から高いモチベーションで入って来て欲しいものです。

解決策 #

採用形態により制約はあるものの、新メンバーとは配属前からコミュニケーションを取り始めることが理想的です。実際に、リモートワーク主流の企業である、GitLab社では、プレオンボーデングプロセスとして、入社前から不安や疑問を取り除くためのプロセスを用意しています。

全ての不安を解決することは難しいかもしれませんが、特に人間関係に対する不安は、少しの工夫によって解消できるものが多くあります。企業によっては、上司から歓迎と自己紹介のメールを送るケースもあれば、チームメンバーから手書きのメッセージやビデオメッセージを募って送付しているケースもあります。リモート環境だからこそ、こうした一手間から”人の温かさ”が伝わり、配属への期待や喜びが増したという声が多く聞かれます。TeamsやSlackで一言メッセージを送るだけでも、心持ちは違うかもしれません。

備考 #

Asana社に入社した方が、チームメンバーから受け取った手書きのメッセージとノベルティの画像を掲載いたします。(Asana社 長橋様 許諾済み、 リモート入社が当たり前になった日(2020/08/22) より引用)

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入社前のオンボーディングの目的は、働く前の不安を取り除き、入社・配属に対して"ワクワク"してもらうことです。気持ちよく入社初日を迎えてもらえるようなコミュニケーションを心がけましょう。

効果的なチームとは何かを理解する #

状況 #

Googleの研究結果から、チームの効果(創造性やパフォーマンス)を上昇させる要因が明らかになっています。また、別の研究結果からエンゲージメントを高める要因として、「チームで働くこと」の重要性も明らかになっています。

チームで働くことは重要ですが、チームメンバーのこれまでの経験などから、チームを組んでいるものの個人商店(1人で案件を完遂させる)が主流なチームもあります。この場合、新メンバーは支援を受けられないケースもあります。

解決策 #

効果的なチームについて、チーム全員で学習しましょう。学習リソースには、たとえば次のものがあります。

チームで1時間とって、re:Workのチームに関する箇所を全員で読み合わせするアプローチがあります。

備考 #

NTT Comは、 Remote Work Native な働き方を志向しています。Remote Work Nativeな働き方を支えるカルチャーの1つとして、「一人ひとりの自律」と「チームワーク」の両立を目指しており、チームワークを社として重要視しています。

配属初日〜1週間で実施

  1. 心理的安全性とは、対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人の認知の仕方、つまり、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味。参考: Google re:Work ↩︎